「美大に…」

「美大?」

「絵が好きで」

「一緒だな」

私は言った。

ちょっと驚いたように、優衣は目を丸くした。

「…君塚さんもですか?」

優衣の声は嬉しそうだ。

「見る方は好きだよ」

私が言うと、優衣は
「わたしは見るのも描くのも、どっちも」
と、言った。

「へえ、絵を描くんだ」

「はい」

「見たいな、一度」

「今度見せます」

優衣が嬉しそうに微笑んだ。


「旦那の遺伝ね」

朝香が言った。

「イデン?」

異国の言葉を聞いたように、私は聞き返した。