そう思いながら、私は皿に目をやった。

皿の上で、美しいテリーヌが無残にばらけ、エビだけが器用に皿の隅によけられていた。

「エビ、嫌いなの?」

そう聞くと、優衣は照れたように頬を紅くしながらうなずいた。

「甲殻類がダメなんです」

「カニとかも?」

はにかみながらうなずく優衣に、私は愛しさを感じた。

“娘としての”。

「そう言えば、優衣ちゃんって、高校何年生?」

私は聞いた。

「3年です」

「ふーん…」

自分から聞いたくせに、ろくな返事しかできない自分を不満に思った。

「もうすぐ卒業するんです」

「何か進路は決めてるの?」