“父娘”――私たちはこれから、そんな関係になる。

下心も、特別な感情も、何もかも隠して暮らして行かなければならない。

男と女ではなく、“父娘”の関係として、優衣と向かいあって行くのだ。

それが、現実。

パイプオルガンの音色が、物悲しく聞こえた。

朝香がどんどん私に近づいてくる。

優衣が私と朝香を見ている。

このまま、式を止めてしまおうか?

そんな考えが、チラリと片隅に浮かんだ。

しかし、式はもう中盤に差しかかっている。

止めることなどできない。

物悲し過ぎるパイプオルガンの音色を聞きながら、私は気づいていた。

私は優衣に恋をしている――。

彼女を1人の女として見ている自分に、罪悪感を感じた。