永遠の君に

言葉を失った気がした。

「初めまして。

宮部優衣です」

優衣が私に頭を下げる。

“初めまして”なんかじゃない。

出かかった言葉を飲み込むと、私も自己紹介をして、頭を下げた。

初対面のフリをして。


自己紹介がこんなにも悲しい行為だったとは、思いもしなかった。

バージンロードを歩いてくる朝香を見ながら、私は思った。

視界の隅には、ゆっくりとロードを歩く朝香を見る優衣の姿がちらついた。

彼女は、どう思っているのだろう?

そのことが、私の頭をよぎった。

優衣は、私の娘になる子。

彼女は“父親”として、これから私を見て行くのだ。

私も彼女を“娘”として、見て行かなければならない。