オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ



握りしめていた手でドアを2回ノックした。


けれど、中から返事は返って来ない。

もしかしたら、既にシャワーを浴びに浴室かもしれない。


そう思った私は、勇気を振り絞って行動に出る。


「失礼します!」


ゆっくりとドアを開けると、

ベッドサイドでYシャツ姿の彼が立っていた。


一瞬視線をこちらに向けてくれたけど、

あくまでも一瞬であって、私を見た訳ではない。


直ぐに背中を向けてネクタイを解き始めた彼。

まるで、私の存在を無視しているかのように。



胸の奥がチクッと痛みを帯びて、鼻の奥がツンとした。

今にも目から涙が零れて来そうなのをグッと堪え、

私は彼のもとへ歩み寄る。


「京夜様」

「………」

「私が何か、気に障るような事をしましたか?」

「………」

「先輩に話したのは京夜様との事ではなく、私の気持ちを話しただけです」

「………」

「好き……だと気付いたのが、別れた後だったから。どうしたらいいのか分からないと、話しただけです。それでもやっぱり、ダメなんですか?」


消え入りそうな声で必死に語りかけた。