マンションの駐車場に到着し、
相変わらず不機嫌オーラ全開で車を降りる京夜様。
私も素早く降りて、スタスタとエレベーターへ向かう彼を追う。
大きなストライドで優雅に歩く彼の後ろ姿さえカッコイイ。
キュンと疼く胸が今は少し痛いくらい。
彼に嫌われたくない。
私、何か不機嫌になるような事を言ったかしら?
エレベーター待ちの彼をじっと見つめる。
彼は腕組みをして目を閉じていた。
そんな彼のジャケットの裾を私は無意識で掴んでしまった。
すると――――、
違和感に気付いた彼が、ゆっくりと視線をそこへ向けた。
しかし、表情1つ変えず、じっと私の指先を凝視している。
まるで、『お前、何してんだよ?』的なオーラを放って。
あまりに温度の無い視線に耐え切れず、
私は掴んでいた手をそっと離した。
絶妙なタイミングで来たエレベーターに無言で乗り込む2人。
勿論、会話など無い。
私は居た堪れなくなって、涙が滲み始めていた。
京夜様、私を避けないで下さい………。



