オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ



マンションの駐車場に到着し、

相変わらず不機嫌オーラ全開で車を降りる京夜様。

私も素早く降りて、スタスタとエレベーターへ向かう彼を追う。


大きなストライドで優雅に歩く彼の後ろ姿さえカッコイイ。

キュンと疼く胸が今は少し痛いくらい。


彼に嫌われたくない。

私、何か不機嫌になるような事を言ったかしら?


エレベーター待ちの彼をじっと見つめる。

彼は腕組みをして目を閉じていた。


そんな彼のジャケットの裾を私は無意識で掴んでしまった。

すると――――、


違和感に気付いた彼が、ゆっくりと視線をそこへ向けた。

しかし、表情1つ変えず、じっと私の指先を凝視している。


まるで、『お前、何してんだよ?』的なオーラを放って。


あまりに温度の無い視線に耐え切れず、

私は掴んでいた手をそっと離した。



絶妙なタイミングで来たエレベーターに無言で乗り込む2人。

勿論、会話など無い。


私は居た堪れなくなって、涙が滲み始めていた。



京夜様、私を避けないで下さい………。