オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ



「なぁ、希和」

「はい?」

「あの男は、誰だ」

「えっ?」


京夜様の視線を辿ると、

そこにはさっきまで一緒にいた先輩がいた。


「先輩です」

「先輩?」

「はい、同じ部署の主任で、私と京夜様の愛のキューピットさんです♪」


あまりに嬉し過ぎて、テンションが高い!

いつもは口にしないような事がスラスラと出て来るッ!!

言った後に自分でも驚き。


「彼が諦めるのは早いって、背中を押してくれたんですよ?」

「へぇ~、アイツに俺らの関係を話したんだ」

「えっ……?」


軽いハグのように抱き留めて貰えた身体が

彼の言葉と共に緩やかに解け……。


「乗れ」

「………はい」


何故か、完全に怒らせてしまったようだ。

物凄い威圧感のあるテールボイスが耳に届いた。


チラッと先輩の方へ視線を向けたが、

今はそれよりも京夜様の方が気になって仕方ない。


私は先輩に会釈して、急いで車に乗り込んだ。



BGMも流れず、会話も無い。

息づかいすら漏らしてはいけない雰囲気が車内に立ち込め、

私は、膝の上で両手をギュッと握りしめていた。