オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ



先輩と肩を並べて歩いて来た先に、

幻でも胸がキュンと疼いてしまうような人が……。


「先輩、すみません!彼が迎えに来てくれたみたいですっ!!」

「えっ?」

「お先に失礼しますッ!!」


真横にいる先輩に視線も合わせず、

挨拶の言葉だけを投げかけて―――――。


黒塗りの車に凭れかかって、

こちらに雷魔ビームを向けている人へとダッシュした。


「京夜さまぁ~~ぁ~~ッ!!」


私の声に反応するように鋭い冷視線が一瞬歪み、

そして、腕組みしていた腕をゆっくりと解いてくれた。


それって、私が飛び込んで抱きついてもいいって事ですよね?!


「んッ!!」

「おいっ、危ねぇだろっ!!」

「だってだって、嬉しくてッ」


仕事用のセダン車で

まさか、迎えに来てくれるだなんて思ってもみなくて。

嬉し過ぎて、頭がおかしくなりそうっ!


本当は凄く不安だった。

もしかしたら、今夜は婚約相手の女性と

ゆっくりお食事デートでもするんじゃないかって……。


既に心のどこかで諦めていたから……。

こうして、私のもとに来てくれただけで満たされる。