オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ



俺は彼女の名を口にしていた。


それはごく自然というか。

それ以外に考えられなかったというか。


だって、俺にしか分からない彼女の証が………。



たった二文字、

『いえ』というその声。



それと、

俺がデザインした世界に1つしかないキャップの持ち主だという証。



『違う』とは言わせない。

彼女ではないのなら、説明がつかない。



この掴んでいる手を離してしまったら

もう二度と掴むことは出来ないと、そう思った。




目の前の女性は視線を落としたまま微動だにしない。

だから俺は、もう一度、

いや、何度でも彼女の名前を呼ぼうと息を吸った、----その時。