オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ



みかに事情を説明すると、却下された。

既に20時を過ぎようとしている時間で、

これからヘリを飛ばしたとしても結構な時間になるから、相手に迷惑だと。

それもそうだな。

自分の事しか考えていなかった。


明日帰国予定だから、逢うなら今日しかないと脳が勝手に……。

スケジュールの関係で帰国を伸ばすことが出来ない。

せっかくここまで来たのに。

仕方がない。

『日を改めて、彼女を迎えに行く』そう決心した。


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J氏のショーは迫力がありながらも艶やかで、大勢の人が魅了されている。

ショーのテーマは『春夏秋冬』。

春夏秋冬と言えば日本のイメージが強いが、フランスにも春夏秋冬がある。

春には桜も咲くし、ミモザや水仙、木蓮も代表的な花だ。

ショーが始まると、春をイメージした衣装を身にまとったモデルが登場すると、

どこからともなく花の香りが漂って来た。

夏はラベンダー畑やコートダジュールの海をイメージしたデザインが印象的で。

秋は葡萄の収穫祭をイメージしたワインカラーと

サロン・デュ・ショコラ(チョコレートの祭典)を彷彿とさせる柔らかみのあるブラウンカラー。

今が春なのに、会場が一瞬で秋になったかと思うほど魅了されてしまった。

スタイリッシュなのに可愛らしいアクセントのあるコートを目にして、彼女に絶対似合うと。

J氏に頼んであのコートを購入できるか頼んでみよう。


冬はやはりクリスマスイルミネーションをイメージしたデザインからスタートし、

フランス最古と言われるストラスブールのクリスマスマーケットをイメージした衣装が奇抜で。

伝統の砂糖菓子を表現したドレスは、ふんわりとしていて女性らしさがありながらもどこか懐かしい感じがして……。

隣に座るみかが『可愛い』と小声で連呼するほど。

そして、白銀の雪山をイメージした衣装は、何故かウェディング衣装に思えた、次の瞬間。

時が止まったかとーーーーー。