オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ



翌日。

清々しく晴れ渡った空を見上げ、肺一杯に空気を吸い込む。

普段は東京のど真ん中で生活していることもあり、

こんな風に自然を感じて過ごすことは難しい。

たまにはこういうリフレッシュも大事だと改めて実感していると、

インターホンのチャイムが来客を告げた。


「早過ぎるだろ」


一瞬でどんよりとした気分になる。

もう少し自分の時間が欲しいのに。


重い足取りで門の解錠ボタンを押すと、甲高い声が遠くの方から聞こえて来た。


「遅い遅い遅い遅いっ!」

「あぁ~悪い悪い」

「もう、心にもないくせに」

「分かってるなら、いちいち責めるな」

「もうっ」


みかは待たされたことへの八つ当たりなのか、

ソファーに置かれたクッションを投げつけて来た。


「朝は弱いお前だったのに、いつから早起きになったんだよ」

「いいじゃない、そんなこと」


みかはぷくっと膨れっ面でソファーに腰を下ろした。


「珈琲」

「ここは店じゃない」

「ミルク多めで」

「俺は使用人じゃないぞ」


みかのオーダーを軽くスルーしていると、みかはテーブルの上に10ユーロ紙幣を置いた。


「別に金が欲しいわけじゃない」

「知ってる」

「ったく」


史上最強のアタシ様だということを再認識。

仕方なく、ミルク多めのカフェラテを淹れてやるか。


*********


1時間ほど世間話をして、出掛ける準備を始めると。


「今日は弾丸ショッピングだから覚悟してね~」

「…………」


やっぱりな。

そうだと思った。

こんなに早い時間から買い物に行くんだもんな。

出掛ける前から憂鬱になる。


みかはストレス発散をすると意気込んで、目を輝かせていた。