ホント、京夜様はズルい。

あんなにも完璧なカラダとフェイスと

うっとりするような甘い声音と熱い視線で

私の心を一瞬で鷲掴みしちゃうんだから……。



彼が出掛けた後、静かになったリビングで

私は彼に抱き締められた自分の身体を抱き締めていた。

……まだ余韻の残る身体を。




けれど、解ってはいてもやはり心がざわざわして……。


『御影』という大きな看板を背負っている彼にとって、

『結婚』は単なる結婚ではない事ぐらい私でも解る。


メディアがあんなにも注目してるんだもん。

もしかしたら、会食の席に押しかけてるんじゃ無いかしら?


もしそうなら、私が彼を守らなくちゃいけないんじゃない?

だって、私は……彼の護衛役なんだから!!


そうと分かれば、こんな所でボーっとしてちゃダメじゃない!!



私は慌てて自室へと向かった。

そして、身動きのし易そうな服に着替え、

携帯と財布を鞄に詰め込んだ。


そして、彼から頂いたこの家の鍵を手にして……。