オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ



「俺ら、夫婦になるんだぞ?遠慮は無用だ。もっと早く言えばよかったのに」

「お嫌じゃないんですか?一人でゆっくり寝れませんよ?」

「は?一人寝を28年もして来たから十分だろ」

「あ、フフッ」

「それに、最近気づいたんだ」

「何をです?」

「抱き枕が売れる訳が。……漸く分かった気がする」

「っ……」

「あると便利だな。……熟睡出来る」


彼の言葉に身悶えるほど嬉しくて。

決して抱き心地がいいわけじゃないと思う。

筋肉質だし、大柄だし、出る所が出てないし。

だけど、先日朝まで添い寝したおかげでお互いに色んな事が知れたみたい。


京夜様は寝ていても時々欠伸をする。

それに気が付いた時はビックリしたけど、恐らく相当疲れているのだと思うの。

私は時々歯ぎしりをするらしい。

学生の頃に怪我が多かった事もあり、

痛みを我慢する癖がついてると母がよく言っていた。

もしかしたらこの先、こうして彼の隣に寝ている時に

彼の睡眠を妨げるくらいの歯ぎしりをしたらどうしよう。

そんなことを考えたりもするけど、その時は医師に相談してマウスピースよね。


「何一人でうんうん頷いてるんだ?」

「へ?」

「エロい妄想は終わったか?」

「え、エロッっっ………何を急に仰るんです!」

「フフッ、だってそうだろ。こんな深夜に男のベッドに潜り込んで来たの希和だぞ」

「そっ、それは………そうですけど、別に深い意味は………」

「俺の感情は関係無いと?」

「あ、いえ、そういう意味では………」

「じゃあ、何されても文句は言えないよな?」

「へッ?!」


いつの間に付けられたのか分からないけど、

ベッドに埋め込まれているヘッドライトが常夜灯ほどの灯りをともしている。

その淡い灯りに照らされ、彼の影がゆっくりと近づいて来た。

しかも、下半身をベッドに張り付けるみたいに彼の脚が覆い被さって。


もう何をどうしていいのか分からず、

瞼をぎゅっと瞑って、彼に身を委ねると。


ふわっと肌掛け布団が持ち上がり、

彼の吐息が顔にかかったと思ったら、

右半身が僅かに沈み込んで………。


















「やっぱり、こっちの方がしっくり来るな」

「……………ん?」

「何、その顔。もしかして、………キス待ち?」