「御影さんっ!おめでとうございます!!」
「今の心境は如何ですか?!」
「そちらが婚約指輪ですかっ!?」
「世界の貴公子を射止めた秘訣は何ですか?」
「挙式のご予定はお決まりですか?!」
「希和さん、こちらに視線をお願いしますっ!」
「こっちにもお願いします!」
私達の登場で一斉にフラッシュがたかれ、待ってましたと言わんばかりに質問の嵐。
今日は少し低めのヒールを履いているせいか、
私はすっぽりと彼の背に隠れることが出来ていた。
それでも、シャッターチャンスを狙おうと
私はすぐさま沢山のカメラに囲まれてしまった。
そんな状況の中、彼は至極冷静で。
御影の護衛がガードする中、いつもと変わらぬ表情で振り返り、
取材陣のカメラやマイクが私に当たらないようにさりげなく手で防御壁を作る。
そんな彼に一歩近づき、似非スマイルを張り付け小さく頷く。
私は大丈夫だから、と。
眩い光の中、か弱き女性のフリして俯き加減で歩を進めても、
私は辺りに怪しい人物がいないか余念がない。
全身に張り巡らされたレーダーで少しでも異変がないか、神経を研ぎ澄ませていた。
御影の護衛もいるというのに、報道陣の迫力には圧倒される。
決して華奢でない私の体が、右に左にと流されて…。
空港職員も対応に当たるが、話題性十分な私達の登場とあって、
ガードされているというより、マスコミに売られている気分になる。
京夜様は、いつもこんな思いをしていたのね。
彼の背中をじっと見つめ、
彼が背負って来た重責が計り知れないものだと、改めて思い知る。
京夜様、これからは私にも背負わせて下さいね。



