オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ



とうとうこの日がやって来た。

ここに辿り着くまで、どれほどの想いを募らせて来た事か……。

18年。

思い返しても長い長い年月。

我ながら、自分自身を褒めてやりたい。

今日までよく諦めずに……。


今日独身最後の仕事をこなし、

その足で彼女と二人、ロサンゼルスへと発つ。


挙式は三日後。

両親達は俺らより一日遅らせてやって来る。

既に婚約しているのだから、

彼女との関係は既に一心同体のようなものだが、

やはり、挙式を済ませてこその気がするのは、俺だけだろうか?


世の中、結婚式を挙げない人も沢山いるが、

年を取った時に『あの時は…』と振り返る事で、

倖せだった瞬間をいつまでも思い出せたら

二人の関係もずっと変わらずにいられる……そう思うんだ。


そんなこと彼女は微塵も思っていないだろうが、

彼女が口にした『真っ青な大空の下で……』という願いを叶えてあげたい。

彼女がやりたい事、行きたい場所、欲しい物……

この俺がしてやれる事があるならば、

手間暇惜しまず、どんな事でも叶えるつもりだ。

――――この命ある限り




彼女にしては珍しいふんわりヒラヒラとした黒いシフォンのワンピース姿で

どことなく緊張している様子で俺の目の前に現れた。


「お待たせして、すみません」

「忘れ物はないか?」

「はい、大丈夫です」

「それじゃあ、行くか」

「はい」


スッと右手を差し出すと、

彼女は照れ臭そうに俺がプレゼントしたヘアピンへと指を滑らせ、

躊躇しながらもゆっくりと俺の手の上に右手を乗せた。

そんな彼女の手を優しく握り、俺達は自宅マンションを後にした。