オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ



俺は苦笑いしか出来そうにない。

言えば言うほど自分の首を絞めそうだ。


彼女にだけはカッコイイ俺を見せたいのに

いつだって素の俺を見せてしまう。

無意識に溜息が漏れ出した。


「京夜様」

「………何だ」

「私、…………正直、安心しました」

「は?………何がだ?」

「お気づきでないかもしれませんが、京夜様はご自分の考えをあまり口にしたりしないお人なので……」

「…………」

「今のお気持ちを素直に口にして下さった事が、何より嬉しいです。それに……」

「………まだ、あるのか?」


希和は視線を泳がせた後、深呼吸した。


「京夜様が素直に仰って下さったので、この際、私も正直に申し上げます」

「…………ん」

「京夜様は、…………そういう事があまりお好きでないのだと思ってました」

「は?…………何でだ?」

「だって、いつも………抱き寄せたり、抱き締めたりするだけですし。キ、……キ、スだって、ごくたまぁ~にしかして下さらないし………」

「っ……」

「それに元々、大の女性嫌いだったし、私も私で、きゅんとさせるような可愛らしさもなければ、うっとり見惚れるほどの美貌の持ち主でもありませんし……」


希和はトーンダウンし、視線まで落とした。


「だから、…………京夜様がその辺にいる男性と同じだと分かって嬉しかったです」

「………嬉しい?」

「はい」

「俺が、イヤらしい目で見てても……?」

「むしろ、大歓迎です!」

「はッ?!」

「あっ………、い、今のは………聞かなかった事に………」


希和は耳まで真っ赤に染め上げ、両手で顔を覆った。

そんな彼女をぎゅっと抱きしめ、耳元にそっと囁く。


「でも、………楽しみはもう少しとっておこうな」


彼女は俺の胸に顔を埋め、コクコクと頷いた。