オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ



自分が口走った言葉と、彼女が言った言葉を思い返す。

挙式後にする、しないという話になり、

希和が嫌なら無理強いはしないと伝えた所、

彼女は“むしろ、して下さい”と言った。

二人の意見は“する”で同調した筈だ。

なのに、話が噛み合ってないだと?


急に慌てだす彼女を呆然と眺め、

俺はキッチン台に凭れ、腕を組んだ。


「分かるように説明しろ」

「えっとですね?………えぇっとですね、えぇっと………」


しきりに言葉を探している様子。

何をそんなに慌てる事があるんだ?

“する”or“しない”という、究極の話題だって口にしたのに。

今更、何があるというんだ?


さっぱり理解出来ず、俺は彼女の言葉を待っていると。

すっかり冷めてしまったカップの中のココアを一気飲みし、

彼女は胸に手を当て、自分自身に言い聞かせるみたいに口を開いた。


「京夜様、何か勘違いされていらっしゃるようですが………」

「勘違い?」

「はい。…………私が言ったお式を挙げたら“する”というのは……」

「……………ん」

「あの、…………その、…………えぇっとですね」

「ハッキリ言え。怒ったりしないから」


俺は表情を変えず、淡々と口にした。

すると、俺の顔色を窺いながら、ゆっくりと口を開いた。


「私がして欲しいと言ったのは、……………指輪です」

「………?」

「だから、指輪!結婚指輪なんです!」

「ッ?!」