初めての宅訪問。
そして、初めての顔合わせでの食事。
緊張せざるを得ないこの状況下で、何故か俺は楽しくて仕方ない。
こんな風に食事をしながら他愛ない会話をした事がない。
話題に上がるのは自社の売り上げの報告やら株価の話。
食事の時だって眉間にしわを寄せて。
こんなに楽しい食事は初めてかもしれない。
「京夜さん、お味はどう?」
「あ、はい。凄く美味しいです」
「粗末な物ばかりでごめんなさいね。希和が、我が家の味をって言うものだから」
「とんでもないです。とても優しいお味がして、本当に美味しいです」
お世辞抜きにして、本当に頬が落ちるほど美味しくて。
彼女が料理上手なのも頷ける。
毎日こんなに楽しい食事なら、
仕事を早く片付けて帰宅したくなるだろうな。
お銚子3本ほど頂き、そろそろ限界が来た。
彼女が言うように、明日二日酔いになっては大変なことになる。
俺はそっと視線を彼女に送った。
すると、彼女はスッと立ち上がり、キッチンへと。



