「はぁ~い、京夜さん。こごみとわらびね~」
「っ!?……………有難うございます」
とうとう奴らのお出ましだ!
カラッと風格のある衣を纏った奴ら。
俺を嘲笑うかのように美味しそうに見える。
因縁の対決をする時がやって来た。
俺は奴らをじっと見据え、生唾を飲み込んだ。
すると、
「大丈夫ですよ、京夜様」
再び耳元で呟く彼女。
何を根拠に大丈夫だと言うんだ?
俺が口にするのをじっと見つめる母親。
もはや、回避する策は無さそうだ。
俺は白幡を上げ、わらびに箸を伸ばす。
「ん?」
おぉ?
あれ??
こいつは、わらびだよな?
何かがおかしいぞ?
今までなら口の中に入れても嚙む事さえ出来なかったのに
気付いたら、飲み込んでいた。
………どういう事だ?
わらびの味に呆気に取られていると、
「ね?………大丈夫だったでしょ?」
ウフフッと、含み笑いをする希和。
そんな俺らの様子を見てた母親は勘付いたようだ。
「京夜さん、山菜がお嫌いなの?」



