オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ



彼女の父親と杯を交わし、時事や日頃の事について会話していると。


「はい、どうぞ」

「……有難うございます」


手元の取り皿に揚げたての串物が置かれた。

まだ山菜どもは大皿の上で踏ん反り返ったままだ。


緊張しつつもほんの少し安堵すると、

テーブルの空いている所に次々と皿が置かれる。


桂剥き状の紅白の大根サラダ。

ツナや豆苗と和えてあり、俺の好みのサラダだ。

そして、鰆の西京焼きが目の前に置かれた。

鮮やかな紅色をしたはじかみが食欲をそそる。


「ご飯とお味噌汁はもう少ししてからでいいですよね?」

「………ん」


普段なら食後に酒を飲む俺だが、

今日ばかりは彼女の父親に合わせないと。

カクテルと違って、日本酒は先に飲まないとな……。


酒のつまみにサラダに箸を伸ばし、口直し。

普段飲み慣れない日本酒に酔いが回りそうだ。


ペースの速い父親に合わせていたら、即効で潰れてしまいそうだな。


機嫌のいい彼女の父親にお酌して、

出来るだけ継ぎ足されないように交わしていると……。