彼女の父親と杯を交わし、時事や日頃の事について会話していると。
「はい、どうぞ」
「……有難うございます」
手元の取り皿に揚げたての串物が置かれた。
まだ山菜どもは大皿の上で踏ん反り返ったままだ。
緊張しつつもほんの少し安堵すると、
テーブルの空いている所に次々と皿が置かれる。
桂剥き状の紅白の大根サラダ。
ツナや豆苗と和えてあり、俺の好みのサラダだ。
そして、鰆の西京焼きが目の前に置かれた。
鮮やかな紅色をしたはじかみが食欲をそそる。
「ご飯とお味噌汁はもう少ししてからでいいですよね?」
「………ん」
普段なら食後に酒を飲む俺だが、
今日ばかりは彼女の父親に合わせないと。
カクテルと違って、日本酒は先に飲まないとな……。
酒のつまみにサラダに箸を伸ばし、口直し。
普段飲み慣れない日本酒に酔いが回りそうだ。
ペースの速い父親に合わせていたら、即効で潰れてしまいそうだな。
機嫌のいい彼女の父親にお酌して、
出来るだけ継ぎ足されないように交わしていると……。



