オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ



卓上フライヤーを準備する希和。

その隣に野菜が盛られた大皿を置き、

そのまた隣に天ぷらの衣が入っている器が置かれた。


「天ぷらですか?」

「食べられるわよね?」

「京夜様、お好きですよね?」


俺の顔色を窺うように母娘に見つめられて……。


「天ぷらは、揚げたてが一番ですよね」


………山菜を除いては。


彼女が俺の苦手な物を知らない訳がない。

なのに、何故?

目の前の大皿には、俺の苦手な山菜が盛られている。


そんな俺の様子を見て、彼女は含み笑いを浮かべた。


「大丈夫ですよ、京夜様」


ご両親に聞かれないように俺の耳元に彼女はそっと呟いた。

何のことを言っているのか、分からない。


これはもしかして、俺を試しているのか?

ハッ、そうだ!

そうに違いない!!

苦手だと解っていて、あえて沢山用意してあるのだから。


楽しそうにお銚子が用意されたお盆を手に戻って来た父親。

そして、それに合わせたように目の前で天ぷらを揚げ始めた母親。

含み笑いのような表情が気になって仕方ない。



俺も男だ!!

惚れた女性の両親の許可を貰う為なら、

苦手な物を食べるくらい何てことない。


かかって来い! 山菜ども!!

この俺様が制してみせる!!