「京夜様もですよ?」
突然、真横から彼女の声が。
「主役が二日酔いだなんて、格好がつきませんからね?」
「………解ってるって」
「ハハハハッ。京夜君はもう希和の尻に敷かれてるのか?」
「はい?」
尻に敷かれてる?
フッ、そうだろうな。
彼女に言われた事なら、どんな事だって出来るんだから。
不意に彼女と視線が絡まり、笑みが零れ出した。
そんな俺達を見て、彼女のご両親も口元が緩んだ。
他愛ない会話で、こんなにも心が満たされるなんてな。
これが、家族の会話ってやつなんだろうな。
父親は上機嫌で晩酌の準備を始めた。
そして、彼女と母親は料理の配膳を始めた。
「何か、手伝う事はありますか?」
一人だけじっと座っている訳にもいかず、うろうろと……。
常識がない訳じゃない。
御影の家では席を立った事がないが、
ここが自宅でない事ぐらい分別はつく。
だからこそ席を立ったのだが、何をしていいのか分からない。
「座ってていいのよ?」
「そうですよ、京夜様」



