オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ



「京夜様もですよ?」


突然、真横から彼女の声が。


「主役が二日酔いだなんて、格好がつきませんからね?」

「………解ってるって」

「ハハハハッ。京夜君はもう希和の尻に敷かれてるのか?」

「はい?」


尻に敷かれてる?

フッ、そうだろうな。

彼女に言われた事なら、どんな事だって出来るんだから。


不意に彼女と視線が絡まり、笑みが零れ出した。

そんな俺達を見て、彼女のご両親も口元が緩んだ。


他愛ない会話で、こんなにも心が満たされるなんてな。

これが、家族の会話ってやつなんだろうな。


父親は上機嫌で晩酌の準備を始めた。

そして、彼女と母親は料理の配膳を始めた。


「何か、手伝う事はありますか?」


一人だけじっと座っている訳にもいかず、うろうろと……。

常識がない訳じゃない。

御影の家では席を立った事がないが、

ここが自宅でない事ぐらい分別はつく。

だからこそ席を立ったのだが、何をしていいのか分からない。


「座ってていいのよ?」

「そうですよ、京夜様」