オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ



リビングの一角に一段高く設えられた和室。

純和室とはまた一味違う趣のある和風モダンな空間。


足下部分を横長にくり抜かれた雪見窓。

床の間には掛け軸ではなく、

春爛漫に活けられた大きな花器。

その花器に間接照明が当たっているのだが、

それがあまりにも幻想的で趣がある。


そして、焦げ茶色のフローリングの中央に本畳が敷かれ、

その中央に掘り炬燵がある造りだ。


さほど広くない部屋なのに、何故か果てしない空間のように感じられて……。

思わず見惚れていると、



「お父さん、程々にして下さいよ?明日が何の日か、解ってますよね?」

「解ってるに決まってるだろ。一人娘の晴れ舞台なのに」

「それならいいんですけど……」



待ってましたと言わんばかりに

キッチンでお銚子に手を伸ばした父親に

すかさず釘を刺しにかかる母親。

俺が望む夫婦像だ。


俺の両親は使用人の目を気にして、

彼女の両親のような言動はあまり見ない。

全く無い訳ではないが、日常的にあるとは言えない。

だからこそ、憧れるんだ。

こういう、ごく普通の夫婦の在り方を……。


微笑ましく二人の会話を聞いていると、