リビングの一角に一段高く設えられた和室。
純和室とはまた一味違う趣のある和風モダンな空間。
足下部分を横長にくり抜かれた雪見窓。
床の間には掛け軸ではなく、
春爛漫に活けられた大きな花器。
その花器に間接照明が当たっているのだが、
それがあまりにも幻想的で趣がある。
そして、焦げ茶色のフローリングの中央に本畳が敷かれ、
その中央に掘り炬燵がある造りだ。
さほど広くない部屋なのに、何故か果てしない空間のように感じられて……。
思わず見惚れていると、
「お父さん、程々にして下さいよ?明日が何の日か、解ってますよね?」
「解ってるに決まってるだろ。一人娘の晴れ舞台なのに」
「それならいいんですけど……」
待ってましたと言わんばかりに
キッチンでお銚子に手を伸ばした父親に
すかさず釘を刺しにかかる母親。
俺が望む夫婦像だ。
俺の両親は使用人の目を気にして、
彼女の両親のような言動はあまり見ない。
全く無い訳ではないが、日常的にあるとは言えない。
だからこそ、憧れるんだ。
こういう、ごく普通の夫婦の在り方を……。
微笑ましく二人の会話を聞いていると、



