「漸く、君に逢えたな」
「本当、………長かったわね」
「…………すみません」
心の底から申し訳なさが溢れ出し、俺は顔をあげれずにいた。
すると、
「もう顔をあげてくれ」
「そうよ、あげてちょうだい」
ご両親の言葉で彼女の手がそっと伸びて来た。
俺はゆっくりと顔をあげると、
「湿っぽい挨拶はこのくらいにして……。京夜君はイケるんだろう?」
「えっ?………あっ、はい」
彼女の父親が手で飲む仕草をしたから、
ホッと胸を撫で下ろしながら相槌を打つ。
見た目はかなり強面だし、見るからに頑固一徹といった感じなのに
話すと意外にも気さくな方のようだ。
料亭で挨拶した時は終始表情を変えずにいたが、
考えてみれば、あの時は仕事中だったからだ。
護衛をしていれば、それなりに気を張っててもおかしくない。
眉間に深いしわがあるから、そう思わせるのかもしれないが、
笑うと大きなえくぼが出来るのは、彼女と同じだ。
そんな些細な事に胸が温かくなった。
このご両親あっての彼女なんだと……。



