オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ



「漸く、君に逢えたな」

「本当、………長かったわね」

「…………すみません」


心の底から申し訳なさが溢れ出し、俺は顔をあげれずにいた。

すると、


「もう顔をあげてくれ」

「そうよ、あげてちょうだい」


ご両親の言葉で彼女の手がそっと伸びて来た。

俺はゆっくりと顔をあげると、


「湿っぽい挨拶はこのくらいにして……。京夜君はイケるんだろう?」

「えっ?………あっ、はい」


彼女の父親が手で飲む仕草をしたから、

ホッと胸を撫で下ろしながら相槌を打つ。


見た目はかなり強面だし、見るからに頑固一徹といった感じなのに

話すと意外にも気さくな方のようだ。

料亭で挨拶した時は終始表情を変えずにいたが、

考えてみれば、あの時は仕事中だったからだ。

護衛をしていれば、それなりに気を張っててもおかしくない。


眉間に深いしわがあるから、そう思わせるのかもしれないが、

笑うと大きなえくぼが出来るのは、彼女と同じだ。


そんな些細な事に胸が温かくなった。

このご両親あっての彼女なんだと……。