「希和」
「……はい」
真っすぐと見つめられて、心まで射抜かれているかのようで。
彼の瞳に捕らわれ、身動きできずにいると……。
彼は僅かに口元を緩めて、瞼を閉じた。
そして、ゆっくりと私の足下に跪いた。
まるで映画のワンシーンのように。
彼はギュッと握りしめている左手を突き出し、
私に手のひらを見せるようにゆっくりと開いた。
そこには―――――
「一度しか言わないからな」
彼の真剣な眼差しに瞬きも忘れ見つめ返すと。
「俺を24時間監視しろ」
「へ?」
「身の回りの世話は任せたいが、もう護衛は必要ない」
「………」
「今世でも、来世でもな」
「っ……」
目の前に突き出されているのは、
私の全財産をつぎ込んでも到底手にすることが出来ない程の高価な指輪。
“永遠”を意味するエタニティーリング。
全周にあしらわれたダイヤの中央に一際目立つ大粒のダイヤ。
一体何カラットあるのだろうか?
まさかとは思うけど、これって……。
「おい」
「っ……、はいっ!」
「返事は?」
「へ?」



