オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ



帰宅すると、彼はシャワーを浴びると言って自室へと向かった。

そんな彼の為に、おつまみを作る。

夕食は済ませてあると言ってたから、軽いものでいいよね?

冷蔵庫の中からサーモンとラディッシュを取り出し、マリネを作り始める。



「はぁ…」


お酒臭くないのかしら?

わざとらしく息を吐き、自分が酒臭くないか確認してみるが、

既にアルコール臭に包まれている為、自分では分かりづらい。

でも、結構な量をがぶ飲みしたから、臭う筈なんだけど…。


普段なら完全に酔い潰れてしまう量を飲酒した筈なのに、

何故か今日は酔いきれていない。


彼のサプライズにハラハラしていて、

そのうち現れるんじゃないかと気が気でなかったから。

私は酔いたくても酔えずにいた。


いっそのこと、酔い潰れて……記憶もなくなって………

夢であって欲しいと思ったほどだから。


溜息交じりに2品目のトマトをスライスする。

そして、綺麗にお皿に盛りつけて塩麹をサッとかけると。


「悪いな、作らせて……」

「いえ、大した料理でも無いですし……」


濡れた髪をタオルで拭きながら彼が姿を現した。


「もういいぞ?後は自分でするから」

「………はい。では、シャワーを浴びて参ります」

「ん」


彼はいつも通り、カクテルを作る準備を始めた。

そんな彼と入れ替わるように私は自室へと向かった。