オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ



自宅マンションの地下駐車場に到着しても尚、信じられずにいた。

車から降りると、すぐさま彼の傍に駆け寄って。


「京夜様?」

「何だ。………どうかしたか?」

「…………私ですよ?」

「あ?」

「だから、松波希和ですよ?」

「………意味分かんねぇ」

「だ・か・ら!相手が、私でいいんですか?」

「はぁ?」


真剣な眼差しの私と違い、彼は呆気に取られている様子。


「おいっ、今更違うとか、勘違いだとか言わせねぇぞ?」

「…………そうは言いませんけど」

「けど?」

「京夜様こそ、冗談だとか、白紙にするとか言いませんよね?」

「言わねぇよ」

「本当に?」

「しつこい!ってか、早く家に帰るぞ」

「………はい」


彼は駄々をこねる私の手を掴んで、少し強引にエレベータへと向かった。


彼の言葉が信じられないわけじゃない。

彼の表情からも、ふざけている風には感じられないし。

だけど、心の片隅で何かが燻っている気がしてならない。


不安?……いや、違う。

何か、こう……しっくり来ないというか、違和感があるというか……。



彼の背中を眺めながら、自問自答していた。