良い事ばかりでは無い。
彼の言動一つで、世の中がガラリと変わるのだから……。
「京夜様」
「ん?」
「宜しかったのですか?」
「何が?」
「その………、あのような形で公にして……」
沢山のお金が費やされた事も心配だけど、
彼の財力ならば何の問題もないはず。
心配なのは、私との関係をバラしても良かったのだろうか?という事。
いずれ公表すると伺ってはいたけど、
あんな形で公にするとは思ってもみなかったから……。
数分前の出来事を思い返すと背筋が凍る。
きっと今頃、ネット上に情報が飛び交ってる筈。
溜息交じりに恐る恐る視線を彼の方に向けると、
不意に彼の手が私の手に重なった。
「問題ない」
「………本当ですか?」
「あぁ」
「本当にホント?」
「しつこい」
「ですが……」
不安で堪らない。
衝動的とは思えないから、確信あっての行動だとは思うけど。
それでも、不安は拭いきれない。
ハンドルを握る彼の横顔をじっと眺めていると、
ギュッと彼の手に力がこもった。
そして……。



