自宅へ向かう車内で……。
「あの……」
「何だ?」
「その…………色々と有難うございました」
成り行きがどうであれ、結果として、お気遣い頂いたのだから。
オーディオの青白いライトが照らす彼の横顔を眺めていると、
「悪かったな。出過ぎた真似をして」
「え?あっ、いえ、とんでもないです」
苦笑する所を見ると、私の心境は察しているようだけど。
「“同窓会”というものがどういうものか、一度見てみたかったんだ」
「へ?」
「今まで出席した事がなくてな……」
「どうしてですか?」
「解るだろ?“御影”というだけで、群がる害虫どもが……」
「…………はい」
私が学生らしい学生生活を送ってないように、
彼もまた、普通の生活を送れなかったのかもしれない。
ううん、違う。
学生生活だけじゃない。
生まれてこの方、心休まる時が無かったのかもしれない。
「京夜様のお陰で、物凄く盛り上がりましたよ?」
「本当か?」
「はい。ビンゴゲームなんて、皆目の色変えてましたから」
「フッ、…………そうか」
「でも………」



