オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ



コツコツとヒール音を響かせて、白いコートの女性が目の前を歩いてゆく。


「ほらっ!やっぱり!!」

「ウソでしょ~?」

「おいっ、マジかよっ!」


彼女の登場と同時に、済ました顔の彼が姿を現した。


何、何っ?!……どういう事??

何で葉山さんが……?

目の前を自信に満ち溢れた表情で颯爽と通過した彼女。


「どうなってんの?」

「………さぁ」


朱夏も困惑した様子で、彼女と私を交互に見ている。

どうして彼女が彼に近づくの?

知り合いって事??

もしかして、彼女と待ち合わせしてたとか?!

だって、私とは………約束なんてしてないもの。


絵になるような二人を視線に捉えた瞬間、胸の奥がピキッと痛んだ。


「ご無沙汰しております。お変わりありませんか?」

「……………すみません、どちら様で?」


意気揚々と話し掛ける彼女とは違い、彼のトーンは相変わらず。

大衆の面前、私の元級友達という事もあり、

女性から話し掛けられても“御曹司スタイル”を保っている。

そんな小さな事一つで、心がほんの少し癒された気がした。


「以前、父の会社のパーティーでお会いしたのですが……」

「………そうでしたか。すみません、記憶になくて」


彼の一言で、その場にいる誰もが嘲笑を浮かべた。

そんな視線に耐えるように皆にキッと睨み返すと……。