やっぱり。
0.000000001%くらいの確率で、もしかして……と思ったけど。
そんな甘い考えは一瞬で搔き消された。
車を囲うように同窓生達が群がっているものだから、
車に近づくことすら出来ない。
どうしたら……。
当惑して溜息を零した、次の瞬間!!
朱夏に左腕をギュッと掴まれた。
「希和、行くよっ!」
「っ?!」
朱夏は強引に同窓生達を掻き分けるようにしてずんずんと進んでゆく。
彼女の考えは、強行突破だった!
何、何っ?!と言わんばかりに、痛い視線が突き刺さる。
そして、やっとの思いで皆の前に出てみると、
運転席のドアが、夜空を仰ぐように開いた。
その瞬間、その場にいた同窓生達が一瞬で硬直した。
そりゃそうでしょ。
高級外車ってだけでも注目の的なのに、
目の前に止まっているのは超がつくスーパーカーだし。
それに、王子様の登場!と言わんばかりにドアがあらぬ方向に開いたのだから。
―――――ガルウィングドア
彼が“今日”
そして、このタイミングにこの車をなぜチョイスしたのか?
考えるだけ………無駄ね。
フッと思わず笑みが零れると……。
「へ?」



