オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ



急に胸が騒ぎ出す。

別に後ろめたい事をしている訳じゃない。

犯罪に手を染めている訳じゃないのに、動揺が隠し切れない。


皆が駆け出した先に止まっている“スッゲェ車”がどういう車か、

見ないでも分かる気がする。


すると、自動ドアの先から女の子達の黄色い声が聞こえて来た。


「………希和?」

「行かなきゃ………だね」

「………うん」


このままマンションに瞬間移動したい所だが、そんな技、

持ち合わせてる筈もなく……。

『二次会が終わったら帰る』と話してある為、三次会に行く事すら出来ない。

どうしてこの場所が分かったのか?定かではないが、

御影の力をもってすれば、きっと容易い。

あれこれ悩んだところで、何も変わらないという考えに至った。


私は大きく深呼吸して外へと向かった。


「ありがとうございました~」


スタッフの声が、“ご愁傷様”と言っているように聞こえた。



店舗の外に出てみると、

同窓生達がスーパースターや芸能人でも見るかのように

好奇な視線を一心に注いでいる先に、

夜に映える白いケーニッグゼグが1台停車していた。