手のマッサージ?
いやいや、それなら顔を背ける事ないよね?
じゃあ、何??
もしかして、手が臭いから、匂いを嗅げとか言わないよね?
ん~、それも無い気がする。
だって、臭いならすぐさま手を洗う筈だし……。
じゃあ、一体、何を求めてるの?
一通りの事柄を予測したものの、
彼の求めているものには当てはまらないと感じた。
そして、限りなくゼロに近い状態だが
こうして手を差し伸べる光景で思い当たるものが1つだけある。
………それは―――――
思わず、脳内に思い浮かべただけで
一瞬で顔が熱を帯びてゆくのが分かる。
だって、だって、ありえないもの。
彼が私を求めてるだなんて………。
目の前に差し出された指先を見つめるだけで
物凄い速さで脈を打ち始めた。
今にも爆発しそうなくらい暴れている。
呼吸の仕方さえ忘れかけていると、
「ん」
「へっ?」
「ん!」
「………」
「んッ!!」
乱暴に腕を掴まれ、彼の右隣りに手繰り寄せられた。
一気に縮まった彼との距離。
彼の吐息が頬にかかり、思わず声を上げそうになる。



