オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ



手のマッサージ?

いやいや、それなら顔を背ける事ないよね?


じゃあ、何??

もしかして、手が臭いから、匂いを嗅げとか言わないよね?


ん~、それも無い気がする。

だって、臭いならすぐさま手を洗う筈だし……。


じゃあ、一体、何を求めてるの?


一通りの事柄を予測したものの、

彼の求めているものには当てはまらないと感じた。


そして、限りなくゼロに近い状態だが

こうして手を差し伸べる光景で思い当たるものが1つだけある。

………それは―――――


思わず、脳内に思い浮かべただけで

一瞬で顔が熱を帯びてゆくのが分かる。


だって、だって、ありえないもの。

彼が私を求めてるだなんて………。


目の前に差し出された指先を見つめるだけで

物凄い速さで脈を打ち始めた。

今にも爆発しそうなくらい暴れている。


呼吸の仕方さえ忘れかけていると、


「ん」

「へっ?」

「ん!」

「………」

「んッ!!」


乱暴に腕を掴まれ、彼の右隣りに手繰り寄せられた。

一気に縮まった彼との距離。

彼の吐息が頬にかかり、思わず声を上げそうになる。