考えたくもないが、犯人は明らかだ。
100人近い人が飲み食いした料金をコンビニでアイスを買うみたいに支払うことが出来る人。
そんなの決まってる………あの人しか……。
呆然と立ち尽くす私の周りにあっという間に人の輪が……。
一次会に次いで二次会も……。
「ねぇ、ホントに誰なんだろうね?!」
「葉山さんじゃない?彼女、どこぞの御曹司と婚約するっていう噂もあるし」
「えぇ?スポーツ紙に出てた人って、スレンダー美女って書いてあったよね?確かに痩せてるけど、小柄だよ?」
「じゃあ、松永さんじゃない?海外モデルをしてるっていう噂だし」
幹事の子達が興奮気味に同窓生達に話すものだから、店内は異常な熱気に満ちている。
辺りを見回す子。
噂に噂を重ねて、盛り上がる子達まで……。
「希和、歩ける?」
「……ん」
朱夏にもたれながら入口へ向かうと。
「朱夏ちゃんと希和ちゃん、またねぇ~」
「あっ、うん!またね~」
「……またねぇ」
三次会に向かう友人に挨拶を済ませると、
「おいっ!外にスッゲェ車が止まってんのっ!!」
「ウソッ!マジで?!!」
「もしかして、御影の御曹司ってヤツ??」
「マジか?!」
「見に行こうぜっ!!」
同窓生の男子数人が興奮気味に一斉に外へ出て行った。
それに釣られて、次から次へと女子までもが外に駆け出してゆく。
「………噓でしょ?」



