オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ



私は朱夏に少し前の出来事を説明した。

支配人と話をしていた“あの人”に酷似している男性の事を。

それを聞いた朱夏は、何やら楽しそうに笑みを浮かべた。


「希和」

「ん」

「幸せ者ねぇ~」

「え?」

「だって、あんなキザな事をするって、相当ベタ惚れって事じゃない」

「っ?!………そうなの………かなぁ」



彼が私に惚れてる??

そんな事、考えたことも無かった。

好かれたいと思うし、彼に見合う女性になりたくて

毎日、必死に努力するだけでいっぱいいっぱいだから。

彼が私に対してどんな感情を抱いてるかだなんて……。

でも、常識で考えれば……そうなのかもしれない。


だけど、彼は普通じゃない。

超が付くほどのお金持ちで、プライドも高い。


だから、常識は通用しない。



思い返せば先月、同窓会について話したから、

いつ、どこで同窓会が行われるかって事は知っている。


だけど、……なぜ?


私との関係を……存在を……隠したい筈なのに。

どうして、明らかにするような真似を……。


毎日ずっと一緒にいるのに、未だに彼の考えてる事はよく分からない。


「はぁ……」

「何溜息ついてんのよ」


朱夏のつっこみに返す気力もない。


部屋に戻った私を待ち受けていたのは、

『誰が御影の御曹司のハニーか?!』という拷問トークだった。