彼をここまで追い込んでしまったのは私だ。
人間不信にでもなったのではないだろうか?
理由を尋ねた所で話してくれるとは思わないが、
一応、念の為に聞いておこう。
「理由をお尋ねしても宜しいでしょうか?」
彼の胸中を推し量ろうとしてみるものの
彼が考えている事なんてサッパリ解らない。
しきりに視線を泳がせ、動揺している。
そんな彼の顔を覗き込むと、
観念したかのように大きな溜息を零した。
そして、顔を背けたと思ったら………。
「ん」
「………?」
なっ、何?
この手は一体、何をしようとしている手?
無造作に差し出された彼の手。
相変わらず、スッとしていて綺麗な指先。
思わず見惚れてしまいそうなその手を
私はじっと見つめていた。
けれども、何のアクションも起こさない彼。
もしかして、……私??
え、ちょっと、私は一体、何をすればいいの?
まさかとは思うけど、
手相を見ろって言うんじゃないわよね?
物凄い速度で脳細胞が活動し始める。
こんな風に手を出す光景で思い当たるのは……。



