オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ



彼をここまで追い込んでしまったのは私だ。

人間不信にでもなったのではないだろうか?


理由を尋ねた所で話してくれるとは思わないが、

一応、念の為に聞いておこう。


「理由をお尋ねしても宜しいでしょうか?」


彼の胸中を推し量ろうとしてみるものの

彼が考えている事なんてサッパリ解らない。


しきりに視線を泳がせ、動揺している。

そんな彼の顔を覗き込むと、

観念したかのように大きな溜息を零した。



そして、顔を背けたと思ったら………。


「ん」

「………?」


なっ、何?

この手は一体、何をしようとしている手?


無造作に差し出された彼の手。

相変わらず、スッとしていて綺麗な指先。

思わず見惚れてしまいそうなその手を

私はじっと見つめていた。


けれども、何のアクションも起こさない彼。

もしかして、……私??

え、ちょっと、私は一体、何をすればいいの?


まさかとは思うけど、

手相を見ろって言うんじゃないわよね?


物凄い速度で脳細胞が活動し始める。



こんな風に手を出す光景で思い当たるのは……。