オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ



「あのっ、京夜様」

「ん?」

「私、…………何もご用意してないのですが……」


四六時中行動を共にしていて、

彼へのプレゼントを買いに行く時間が無かった。

ネットで注文する事も出来たけど、

直接自分の目で吟味したかったから。

………ううん、違う。

毎日すぐ傍にいれる倖せに驕って、勝手に思い込んでいた。

心が繋がっていれば大丈夫なんだと……。


彼への愛情が薄れた訳じゃない。

倖せ過ぎる日常に色ボケしたとしか言いようが無い。


ギュッと胸が抓まれる想いに駆られながら、

彼から頂いた腕時計に指先を走らせた。


「希和からは十分貰ってる」

「へ?」

「毎日旨い料理と細やかな気遣い。それに、仕事の効率化を図って無理でも時間調整してくれている事も……」

「………それは………当たり前の事で……」

「俺の傍にいてくれるだけでいい」

「っ……」


心地良いテールボイスが心に響く。

そして、再び爽やかなミントの香りに包まれた。

こんなに優しくして貰っていいのかしら?

贅沢過ぎる生活も、大好きな人と一緒に過ごす時間も。

全てが夢のような出来事なのに、それを全て叶えてくれる人。

私には勿体なさ過ぎるわ……。


「だ……ぃ………好きですっ!」

「フッ、当然だろ」


皮肉たっぷりな台詞も、照れ隠しだと解ってしまった。

だって、私を拘束する腕が更に強くなったから。


今までで一番倖せな新年を迎えた。