「京夜様、ちょっと待って下さい!」
「ん?」
希和はショップ内の雑貨コーナーへと足を進めた。
そして、“う~ん”と唸りながら小物類を俺にかざして首を傾げる。
「気に入ったモノが無いなら無理して「いえ、違います!」
「ん?」
「どれも似合い過ぎて、イメージが崩れないです」
「は?」
「私的にはもっとこう……軽めな感じに崩したいんですけど……」
彼女のイメージがいまいち掴めないが、
恐らくこういう事なのだろう。
普段の俺からは想像出来ないような恰好をして欲しい……と。
それなら………こんな感じか?
俺はポールハンガーに吊るされていたボディバッグを手に取り、
軽やかにそれを首に通して……。
「希和」
「あっ、はい」
俺の呼び掛けに振り返った彼女は、
「えっ、あっ!それ、凄くイイ感じです!!」
「フッ、やっぱりな」
「えっ?」
「いや、何でもない」
俺は彼女の前でポージングしてみせる。
俺的には学生っぽいイメージだったが、
彼女的には“イクメン”らしい。
公園の芝生の上で寝転んで休日を過ごすイメージなのだとか。
言われてみれば、そんな感じもする。
そんな風にして休日を過ごした事がないからいまいちピンと来ないが、
きっとそれが彼女が望む“休日スタイル”なのだろう。



