「やっぱり、京夜様は黒が1番似合いますね」
「そうか?」
「はい。ダッフルコートって、高校生が着るようなイメージでしたけど、京夜様が羽織るとお洒落に見えます」
「フッ、それって褒めてんのか?」
「はい、勿論!」
水牛の角で出来ているダッフルボタン。
フードの縁取りとボタン周りの生地が
同系色のレザーであしらわれているらしい。
カジュアルだけどちょっとお洒落心が詰まった一品のようだ。
そして、彼女は自分の分を吟味し始めた。
メンズ服のショップだが、
スリムタイプのダッフルコートだから彼女でも着れそうだ。
カラーバリエーションは全部で8色。
黒・白・紺・グレー・ダークグレー・ダークブラウン・キャメル・赤。
鏡の前で赤と黒を眺める彼女に、
「希和は、このキャメルが似合うと思うぞ?」
「えっ?……そうですか?」
「ん、優しい色合いの方が絶対似合う」
「ッ////……じゃあ、これにします////」
「ん」
キャメル色のコートを彼女の胸元に当て、
鏡越しに優しく微笑みかけた。
やっぱり、希和は上品な色合いが良く似合う。
柔らかい笑顔がそう思わせるのだろうな。
俺は2点を手にしてレジへと向かおうとすると、



