オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ



「俺の女は安くないんでね………気安く触らないで貰えます?」

「っ……」


俺は店員の耳元で2トーン下げた声音で囁いた。


希和にセールストークしてた男は

彼女に眼鏡を掛けさせながら鏡を覗き込む彼女の隣りで、

さり気なく彼女の腰に手を置いていた。


俺でさえ、彼女に触れる度に緊張してるってのに

どこの誰だかも分からないような男が触れるなんて以ての外!


俺は試着室から持ち出していた自分の服を彼女に渡し、

それと一緒に財布も手渡して……。


「これ着て帰るから、支払って来い」

「はいっ!すみません、お会計を……」

「あっ、はい、只今!!」


俺は視線も合わせず、腕組みして待つ事にした。


支払いを終えた彼女がハサミを手にして戻って来た。


「京夜様、すみません。直ぐに値札を取りますね」

「ん」


彼女は申し訳なさそうに服に付いている値札を取り、

ハサミを店員に返しに行った。



ショップを出ても苛々が治まらず、

俺はいつものスピードでスタスタ歩くと、


「んッ?!」


不意に腕を掴まれた。


「きっ、京夜様っ………ごめんなさい!」


その声に反応するように振り返ると、

希和が今にも泣きそうな顔をしていた。