血相を変えた天宮社長と京夜様のお父様が姿を現した。
恐らく、京夜様が知らせたに違いない。
私は事の次第を丁寧に説明し、両社長を椅子に座らせた。
待合室にいる誰もが不安の色を滲ませている。
「三浦の奴っ……」
天宮社長が悔しさを込め、声を漏らした。
行き場の無い感情が張り詰める。
すると、ER室からロイヤルブルーカラーのスクラブを着た医師が姿を現した。
そして、その背後から警察官の姿も。
医師が通報したものと思われる。
「患者は先程、3階のICUに移しました。現在は安定しています。詳しい事情をご説明致しますので……」
医師はICUへと移動を促した。
私達は医師の後追い、その後に警察官が続く。
ICUの入口脇に小部屋があり、そこへ通された。
医師が毒の詳細を説明し、解毒の処置を施した事を告げた。
幸いにも毒が致死量に至って無い事と、
素早い応急処置が施された事により、命に別状は無いとの事。
現在は後遺症が出る可能性も考え、経過を見ていると……。
命に別状は無いと聞き、その場にいた誰もが安堵した瞬間だった。



