オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ



「京夜様、大丈夫ですか?」

「あぁ、心配ない」


希和が俺の顔を覗き込むように視界に現れた。

俺よりも彼女の方が心配そうにしている。


「希和」

「はい?」

「今夜はどこかに食べに行こうか」

「………はい」


俺の言葉に反応するように、ほんの少しだけはにかむ彼女。

出来る事なら、この百貨店内を

彼女と手を繋いで歩き回りたいくらいだ。


『彼女は俺のモノだから、誰も近づくなよ?!』と。


そんな事を脳裏の片隅で考えていると、

あっという間に取材の時間が訪れようとしている。


天宮凪彩に一瞬視線を向けると、

重役の1人からペットボトルを手渡されていた。

その表情はあからさまに怪訝な顔つきだ。


そんなやり取りを横目に見ていると、


「専務、そろそろ宜しいでしょうか?」

「あぁ、今行く」

「お願いします」


再び長谷川の合図に小さく息を吐く。

すると、凪彩に声を掛ける三浦の姿が視界に入った。


取材場に向う彼女の為にペットボトルを受取り、

優しく笑みを浮かべ、彼女を送り出そうとしている。

そんな男の表情に釣られるように、

凪彩は俺が見た事の無い『女』の顔をしていた。