オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ



イベント会場も徐々に落ち着きを見せ始め、

後の事を長谷川に一任し、

俺は凪彩と共にステージ裏へと移動した。


すると、天宮製薬の重役達が社長らと何やら会話している。


天宮製薬は役員が二手に分かれ、現在抗争中。

凪彩の父親である社長はあまり詳しくは語らなかったが、

どうも、抗争自体も何やら不可解な点があると言っていた。


他社の事に首を突っ込むほど、俺は暇人じゃない。

ただ、今は凪彩と三浦の事があるだけに少しばかり気にはなる。


そんな彼らのやり取りを横目に見ていると、


「京夜様」


俺のもとに希和が駆け寄って来た。


「お水は如何ですか?」

「いや、いい」

「左様にございますか」


彼女の手にはミネラルウォーターが握られていた。


「京夜様、10分後だそうです」

「………そうか」


俺はこの後、簡単な記者会見のような取材を受ける事になっている。

今回の独占販売の裏に何か隠されているのでは?と、

メディアお得意のエンタメスクープを取りたくてしょうがないといった状況。


俺は心底溜息が漏れ出していた。