校長先生の長ーい長ーい話の最中に
アタシは小学生の頃を思い出していた。
小学6年生の時に始めて
一緒のクラスになった男の子。

背が低くて、でもサッカーが上手くて、かっこ良くて。
皆を盛り上げるのが上手で、
だからいつも皆に囲まれてた。
いわゆる人気者。
そしてアタシの好きだった人・・・。

アイツは友達よりもサッカーを取った。
6年生の途中で転校してしまった。

違う町の学校に行ってしまった。
アタシは携帯をまだ持ってないから
アイツとの連絡手段もない。
だから余計に気になって仕方がない。
もし携帯をアタシが持っていたのだとしても、
アイツの連絡先なんて聞けなかっただろうに。


アイツはかっこ良いから、皆の人気者だったから
すぐにでも彼女ができちゃうんじゃないか。
なんてしなくてもいい心配ばかりで
全然アタシの心から
アイツは消えてくれない。


今何してるのかな?
体育館の窓から見える飛行機雲──。
アイツの事が好きだと気付いた日も
こんな感じで
雲ひとつない青空の下だった・・・。