男が帰ったあと、智子はクスリと笑った。 そして、男の座っていた席にある食器を片付け、 キッチンの横にある扉から、二階へつながる階段を上った。 この喫茶店は、智子の住んでいる家でもある。 階段を上ると、そこは1LDKの部屋になっている。 以前は母と二人でここに住んでいたが、 母が亡くなってからは、智子一人だ。 部屋に入ると、智子は自分の書棚から、 一つのアルバムを取り出した。