チェリー×チェリー


「龍くん、私が好きなのは……!!」

ハッとした顔をしてうつむいて、少し考えてから俺をにらんだ。
それから「馬鹿」と叫んで体育館を出ていった。

「……行けよ」

思考停止して突っ立っていた陽太に声をかけた。

…………葵、お前が幸せになるなら俺は傷ついてもかまわない。
今まで、ありがとうな。陽太と上手くやれよ。

陽太の、背中が見えなくなったのを確認してから口を開いた。

「みんなごめん迷惑かけて」

それから周りをぐるりと見回した。

「俺らは別に大丈夫っすよー」
「むしろあの2人やっとって感じだよな」
「桜井先輩もホント鈍すぎますよ」

なんだ思っていたことは皆同じだったのか。

「本当にな、じゃああと少しだけど集中していこう!」

「「「おぉっー!!」」」