「星野さん? 何かいつもと……」

だめ、これ以上ここにはいられない

私は最後まで聞かずに

「大丈夫だから お疲れさま……!」

と叫んだ。

そのまま顔も見ずに入口の方を向いて早足に歩き出した。
とにかくこの場にはいたくなくて急いだ。

でも入口に一番近い机にプレゼントの入った紙袋をぶつけて落としてしまった。

「あ……」

拾おうと振り向いた瞬間目が合ってしまった。

もう、だめ。リミッターが、外れる……!

涙が溢れてきた。泣き顔なんて見られたくないから、紙袋をそのままにして走り出した。

止まっちゃだめ。振り返っちゃだめ。泣くな、走れ。

マネージャー用の部室もある部室棟まで走った。

部屋に入るまでは泣いちゃだめだ、もう少しだから……

でも部室につくまで耐えられなかった。

「う……龍くん……!」
「あ、葵どうだ……どうしたんだ?!」

龍くんの胸のあたりのシャツを握りしめて、声を押し殺して泣いた。

「ふっ……うっ……ぐすっ……」
「葵……」
「龍くん、私……どうすればよかったの?」

“友達”だなんて言われて、どうすれば……

龍くんの顔を見あげた。

「ふっ……龍くん わた、私ね“友達”って言われて……言えなかった せっかく龍くんに背中押してもらったのにね?」

これ以上心配させたくなくて無理矢理笑顔を作った。

一瞬龍くんまで泣きそうな顔になる。

「龍くん……?」