桜井くんの誕生日当日。
とうとう放課後がやってきてしまった。

朝、
「部活が終わったあと教室に来てください」
と綺麗な文字で書かれたメモが机に置かれていた。

うまく、言えるかな……もう後戻りは出来ない

何故だかいつもより時間が早く感じた。時間って遅いときがいいほど早く感じてしまう。

「お疲れさまでしたー」

あっという間に部活も終わりの時間、マネージャーは片付けがあるので少しだけ遅くなってしまう。

「葵この後何かあるの?」
「へ?」
「今日そわそわしてた」

美緒ちゃんにはお見通しだった。

「えーとね……」

周りには誰もいないのだけれどこっそりと耳打ちしてしまう

「ええー!!」
「美緒ちゃん声でかいよ!」
「ごめんごめん、びっくりしちゃって……ついこの間しないって言ってたから」
「そのつもりだったんだけど、龍くんに言われて……」

美緒ちゃんが不思議そうな顔をした

「坂井くんが……? でも、確か……」
「どうかしたの?」

彼女は慌てて首を横にふり
「ううん、何でもない」
と言った。

「じゃあ、頑張ってね!」
「うん、ありがとう 頑張るね……!」

美緒ちゃんの言っていたことが少し気になったが、特に深い意味はないだろうと思い忘れることにした。