半日練習が終わり帰宅途中。

「ハァ……」

思わずため息が出る。火曜日のことを考えているのだ。

「桜井くん今日も調子悪かったしなぁ…… また次に会う時に気にしないでって言わなくちゃ……」

独り言をいいながら帰っているとふいに名前を呼ばれた。

「葵」
「ひゃっ?!」

聞かれちゃいけないことを考えていたので、すごくあせる。

「ひゃってなんだよ……」
「あぁ、龍くんかびっくりした どうかした?」

すると、眉間に少しシワを寄せて聞いてきた。

「お前、陽太と何があった?」

……と。

しかも“何か”ではなく“何が”だ。

「な、なな何もないよ?!」

本能でヤバイと感じた。
こういう時の龍くんは話すまで帰してくれない。

「それだけなら先に帰るね?」

そう言って立ち去ろうとしたが遅かった……

右腕を掴まれニッコリした笑顔で

「聞かせろ、部長命令な?」
「し、職権乱用!」
「葵が陽太好きなこと、本人にバラすぞ?」

ビックリして目を開いた。

「な、なんで知ってるの?」
「本人以外にはバレバレだよ! 陽太はニブイから気づいてないけど」
「うぅ……」

もう逆らってもだめだと確信したので大人しくすべてを話すことにした。