「ねえ、社長驚かせようよ。俺がチャイム押すから、隠れてて」
「え…」
「いいから、いいから!」
ショータは私の背中を押し、玄関からの死角へ追いやった。
ピンポーン。
ショータがチャイムを押した。
少しして玄関のドアが開いた。
「お疲れっす!」
「なんだいきなり」
ケンの声だ。
「暇だったんで!」
「暇潰しの場所じゃねーぞ」
「ちょっと上がらせてくださいよ〜」
「散らかってんぞ?」
「いいです、いいです。あ、もう1人いいっすか?おーい!」
ショータに呼ばれた。
「誰だよ〜ったく」
ケンのめんどくさそうな声が聞こえる。
ドキドキしながら玄関に向かった。
「ただいま」
全然ただいまなんかじゃないのに、一緒に住んでいる設定で考えて出た一言だった。
「ちえ…」
驚きを隠せないケン。
